老後の生活費いくらだと思いますか?年齢別でかかる費用

これからの不況をどう乗り切るか

生活に必要な最低額は変わりません

新型コロナウイルスによる経済的な不安が拡大しています。少し前までは飲食業界やイベント業界のみの問題だと考えている人が多い印象でしたが、今月緊急事態宣言が出されたことにより、ほぼすべての業界で雇止めや休業が迫られました。それにより、緊急事態宣言が最初に出された1都7県ではすでに収入が減ったり、これから大幅に減る見通しになっている人が多いのが現状です。さらに、先週発表された緊急事態宣言の全国拡大によって、これまで影響が少なかった県にも多大な影響が出ることは間違いないでしょう。この状況がいつまで続くかは誰にもわかりません。米ハーバード大学の研究チームによると、2022年までは断続的に外出制限や自粛などの規制措置を続けることが必要だといいます。実際に2年という期間完全に外出の規制がされることは考えにくくはありますが、それでも経済不安や感染リスクを理由にしばらくは購買力が下がり、不景気は続くと予想されます。そんななかでも、私たちは生活を営まなければなりません。そして、収入が減っても生活に必要な最低限の費用は変わりません。対策をとるためには、まず今後必要な支出の額を把握しておく必要があります。

 

収入と支出を把握する

収入と支出がどれくらいで、自分の家計がどういう状況なのか把握することがすべての基本です。今後に備え貯金をするにしても、普段どれくらいの支出があるのか、どこを削るのかを考えなければいけません。普段から家計簿をつけていたり、レシートを管理したりして自分の家計をしっかりと把握している人はいいのですが、普段収入に対しての支出がどれくらいなのかすぐに出てこない人は要注意です。これでは家計のどこをどう改善するべきなのか、そもそも問題があるのかどうかもわかりません。これから世界的に経済が停滞することはほぼ間違いなく、それは個人の経済状況とも直結します。普段お金の流れに対して鈍感な人もこの機会に家計を見直すことが重要です。少なくとも家計が赤字なのか黒字なのか、それだけでも把握しておきましょう。

忘れてはいけない、ライフイベントにかかる費用

生活費を把握する他に、結婚、子育て、老後など…いずれ必要になる人生の中で発生する主なライフイベントの費用に備えておくことも必要です。人生の節目では、お金に関してそれぞれやるべき手続きや、考えなければいけないことがあります。何歳までにいくら必要なのか、ほとんどの人はちゃんと用意できているのかを知り、現状と比較してみましょう。先ほどの家計状況を踏まえて人生の各段階でかかる費用を知ることで、自分の人生計画にあった貯金の目標額も決めることができます。

主なライフイベントの費用は以下の通りです。

結婚費用 354.9万円(挙式、披露宴、披露パーティ総額。「ゼクシィ 結婚トレンド調査2019」調べ)、教育費(幼稚園~大学まで国公立の場合の1人当たり)1005万円(幼稚園~高校は文部科学省の平成30年度の調査。大学は日本政策金融公庫の令和元年度の調査より。自宅外通学の場合の仕送り等は含まない)、住宅購入費 3442万円(住宅金融支援機構「フラット35利用者調査 2018年度」より)老後の支出 27.1万円/月(総務省「家計調査」による2019年のデータより。夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合。介護費用や家のリフォームなどは含まない)

それぞれのイベントが訪れる平均年齢は、平均初婚年齢 男性31.1歳/女性29.4歳住宅購入時の世帯主の平均年齢 36.8歳となっています。(平均初婚年齢は厚生労働省「人口動態調査」の2018年のデータ、住宅購入時の平均年齢は分譲戸建ての一次取得者、国土交通省「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」による)

また、金融広告中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2019)による年齢層別の貯金額の中央値は、単身世帯で、「20代 80万円」、「30代 300万円」、「40代 375万円」、「50代 420万円」、「60代 845万円」となっています。2人以上世帯では「20代 165万円」、「30代 355万円」、「40代 550万円」、「50代 1000万円」、「60代 1200万円」となっています。

 

「人生の三大費用」を意識し「貯め時」を見極めましょう

 

住居費と教育費の負担が大きい30代~40代

ライフイベントが発生する平均年齢と貯蓄額を合わせてみていきましょう。男性31.1歳/女性29.4歳で結婚をすると仮定すると、結婚前の20代に貯められる金額の中央値は80万で、二人合わせると160万円です。結婚にかかる費用は354.9万円なので、平均的な30歳前後で結婚するのであれば194.9万円の不足ということになります。結婚式を挙げずに生活をするとしても、30歳前半から教育費がかかるとすれば約20年間で1005万円の出費となります。30代の単身世帯が20代の単身世帯に比べ220万円のプラスに対して、30歳で結婚をした場合、20代の単身世帯×2(160万円)からは10年間で195万円のプラスとなり、1人当たり97.5万円しか貯められていないことになります。単身世帯と比べると10年間で122.5万円のマイナスとなっているため、30歳前後で結婚というイベントが発生する可能性を考慮し、20代のときより貯金が貯まりにくいことを意識しておくといいでしょう。働き始めの20歳前後からライフイベントが発生する30歳前後までの約10年間は、大きな出費がない「第一の貯め時」です。将来に備えるならできるだけ無駄な出費を減らし、場合によっては資産を増やす仕組みを作る準備をしておきましょう。30代~40代は収入は増えますが、一方で教育費と住宅費が負担になります。「思ったより貯まらないな…」なんてことにならないように、20代のうちに準備をしておくことが重要です。

 

老後資金は賄えるか

「人生の三大費用」と呼ばれるのは、「教育費」「住宅費」「老後資金」です。教育費、住宅費に関しては30代~40代に負担が集中することがわかりました。もう一つ、忘れてはいけないのが老後資金です。老後資金は27.1万円/月ですが、年間にすると325.2万円、10年ごとに3252万円の支出となります。65歳でリタイア後90歳まで生きたとすると、25年間で約8130万円の資金が必要となります。「自分は90歳まで生きていないだろうし関係ない」と思われる方も多いと思いますが日本人は思ったよりも長寿化しています。1950年頃の男性の平均寿命は約60歳でしたが、現在は約81.25歳まで伸びていますし、現在60歳の人の約4分の1が95歳まで生きるという試算もあるほどです。仮に100歳まで生きたとすると約1憶1382万円の支出となります。総務省「家計調査」による2019年のデータよると、年金を含めた月の収支はマイナス3.3万円ですが、これも100歳までとすると1155万円を貯金から切り崩さなければいけません。60代の貯蓄額の中央値は1200万円万円なので切り詰めていてもかなりギリギリになります。さらにこの老後資金には介護費用などは含まれていないため、このほかに医療費や介護費など別途多額の出費が定期的にかかる可能性があります。子どもが大学に進学したあとの出費が減る時期が「第二の貯め時」です。子どもの手が離れて少し贅沢をするのもいいですが、冷静にリタイア後の資金について見直してみることも重要です。

 

自分のライフプランについてもう一度考えてみましょう

もちろん「人生の三大出費」のかかる金額は人や家庭によって違います。ご紹介した数字もあくまで平均です。今後景気が悪化すると、増税や社会保障制度が手薄くなるなどのリスクがあることも考慮しなければなりません。大事なのは、「自分の場合はどうか」今一度考えてみることです。もちろん計画通りに人生が進むとは限りません。しかし、行き当たりばったりでは、お金が貯まらないどころか最悪の場合”破錠”もあり得ます。大まかでもイメージをして目標を立て、備えを作っておくことが必要です。自分のライフプランが見えてきて貯金だけでは足りないと感じたら、投資などで老後資金を補ったり定期収入を得たりするといった方法も考えてみましょう。

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