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公的年金、新年度「実質目減り」
最近ニュースでもよく取り上げられているこの話題について、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
4月に入り、新年度入りに伴って、シニアが受け取る公的年金の金額や現役世代らが納める社会保険料などが切り替わります。これらの改定は、世帯収入の増減やそれを踏まえた消費動向にも影響してきます。いつどうなるかを知り、家計の運用に活かしていきましょう。
年金額は2年連続のプラスですが…
2020年度の年金額は昨年度比0.2%のプラス改正となりました。自営業者らが加入する国民年金(満額)は月6万5141円と133円増え、主に会社員だった人が受け取る厚生年金(夫婦2人分の標準額)は同22万724円と458円増えます。2年連続のプラスですが、増える金額はわずかです。
物価ほど増えず
昨秋に消費税が2%上がったことを考えれば、0.2%の増額は少ないです。これは改定の際の2つのルールで増加率が削られ、物価ほど増えない「実質目減り」が続くからです。1つは賃金や物価の変化に応じて本来の改定率を決める基本ルール、そしてそこから少子高齢化に伴う調整率を差し引く「マクロ経済スライド」です。
基本ルールでは、新たに年金をもらい始める人は賃金、いったんもらい始めたららそのあとは物価に連動するのが原則ですが、04年からもらいはじめた人も経済環境によっては賃金に合わせるようになりました。これによって本来の改定率は物価より小さくなるケースが増えました。状況によってはさらにスライド率が差し引かれ、年金の伸びが抑えられます。
20年度の増加率はどうして0.2%に抑えられたのか
20年度は物価が0.5%上がりましたが、賃金は0.3%でした。基本ルールに沿って本来の改定率は賃金の0.3%でしたが、スライド率の0.1%も差し引かれ最終的な改定率は0.2%になりました。今後「年金は物価ほど増えないことを頭に入れておきたい」とニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫主任研究員は話します。
現役世代が納める保険料はどうか
厚生年金の保険料は17年9月から、「給与水準(標準報酬月額)」に対する比率が18.3%(労使合計)で固定されました。このため保険料は増えないと思っている会社員もいるようですが、固定されたのはあくまで料率です。これに報酬をかけて計算する保険料は昇級すれば増える場合があります。
給与が高い人は9月以降に保険料が上がる可能性
また、今年9月には標準報酬月額の上限が改定される見通しです。月収など実際の報酬が63.5万円以上あると標準報酬月額の等級が上がり、保険料負担が企業、本人それぞれで年3.3万円増えてしまいます。
雇用保険でも徴収
健康保険料と雇用保険料は上昇が続いています。介護では給料など報酬額に応じて保険料が決まる「総報酬割」を4年かけて段階的に増やしており、最終年度の20年度は全面導入となります。報酬が高い人が多くいる健保組合の負担が増え、料率が大きく上がるところも出てくるでしょう。
健保と介護は料率改定が3月(実際の保険料に反映されるのは4月の給料からが多い)で、標準報酬月額は9月(同10月)となります。このため、「春は料率、秋は標準報酬月額の改定によって、年2回保険料が変わる場合がある」と社会保険労務士の篠原宏治氏は話します。
今後やるべきことは?
新型コロナウイルスの影響で、政府も実に108兆円規模の財政が負担になります。国の支出が増えたら必ず行われるのが増税です。年収の高い人から徴収していくので、年収600万円以上になると保険料の負担に加え、課税金の負担が増えることが予想されます。また、合わせて今後の社会保障額もさらに下がることは確実でしょう。社会保障制度は実質あてにならなくなります。老後の資金対策として、また、目先の増え続ける保険料を補完する資金を得るために、何かしらの行動を始めなければいけません。