現状では重症の心不全の根治には心臓移植しかありませんが、提供者不足のため、治療が受けられない場合はよくあります。
目の難病など移植する再生医療がすでに始まっていますが、命に関わる心臓病で、iPS細胞で作製された心臓細胞を人に移植する再生医療は世界初となります。

先日2020年2月27日、大阪大の澤芳樹教授らがiPS細胞から育てた心臓細胞をシート状にし、重症心不全患者に移植する世界初の手術を行い、経過は順調だと発表しました。
今回の医師主導治験は重篤な心不全患者で、2019年の12月に開始し、1月に阪大病院で実施したと言います。手術に使用されたシート状の心臓iPS細胞は、京都大で蓄積、培養、作製され、手術日程に合わせて、シート状に加工されました。手術では痛んだ心臓患部に貼り付けた後に、1年間の経過観察を行い、安全性、回復度合いなどの有効性を調べることにしています。

iPS細胞を使用する心臓の再生医療の分野では、慶応義塾大の福田恵一教授らが心臓に注射針で心筋細胞を注入する臨床研究を計画し、現在大学内審査中です。また筑波大では心臓細胞に遺伝子を導入する遺伝子治療の研究、開発も進んでいます。

先進的な医療技術と共に、これから迎えてくる長寿化社会には、「人生100年」というのは当たり前になるのも珍しくありません。では健康だけではなく、どのように豊かな高齢生活を暮せるのも、現役の人たちにはこれから問われる課題になります。

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