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生涯現役で活躍できる社会を掲げる~全世代社会保障検討会議・中間報告より
日本経済新聞2019年12月20日朝刊によりますと、
政府は先日19日にまとめた社会保障改革案で「生涯現役で活躍できる社会」を掲げた。長く働いて、公的年金の受け取りはできるだけ遅らせ、1カ月あたりの年金額が増えるよう政策で後押する
とのことです。
高齢期の働き方と老後をモデル化
全世代型社会保障検討会議の中間報告で示した高齢期の働き方と老後をモデル化を解説します。
- 60歳で定年を迎えた後は70歳まで嘱託などの契約社員として働く。
- 70歳で退職した後の5年間は個人型の確定拠出年金(イデコ)といった私的年金を取り崩して、生活費を補填する。
- 75歳から公的年金の受け取りを始めれば、1カ月の年金額は基準額から84%多くなる。
【これで安心した老後を送ることができる】
というイメージを掲げています。
退職後5年間生活費を補てんする方法は、私的年金で補てんなり、不労所得なりが必要になってくる
しかしながら、このイメージ通りに生活するとしたら、70~75歳までの5年間無収入期間となり、なんらかの収入手段を得るか、貯金、個人型の確定拠出年金(イデコ)など私的年金を取り崩しが必要になってくるモデルを推奨しているのです。
つまり、空白の5年間は、自助努力で作った”資金形成”したお金が必要である、と発表したのです。
もう1つ重要はことは年金の受給は「75歳からの方がいい」というのを推奨報告したことに今回は注目すべきではないでしょうか。
1か月の受給額が84%アップになるからといって、それまでの生活費はどうしたらいいのでしょうか。
60歳(※希望者は65歳まで)に定年になってから、定年廃止や定年延長でない企業の場合は、”嘱託”という正社員ではない働き方では、正社員ほど収入も高くないでしょう。
今の60歳は元気だから、と言っても60歳を過ぎてセカンドライフをしっかり楽しみたい場合には若いうちから資産形成をして老後資金を準備しておく必要がいっそう出てきた中間報告とみてもいいのではないでしょうか。
それを裏付けるように、この中間報告は公的年金制度の見直しも盛り込んでおり、現在60~70歳の間で選べる受給開始年齢の上限を75歳まで引き上げられる方向になっています。(受給を1カ月遅らせるごとに、1カ月あたりの年金額は0.7%増える仕組みで、75歳まで延ばせば84%増えるとしています。)さらに確定拠出年金は加入できる年齢を60歳から引き上げ、将来の年金額を増やせる仕組みも整えるように検討しています。
その柱になるのは70歳までの就業機会の提供です。といっても、企業へは努力義務になります。現在、高年齢者雇用安定法で、企業はすべての希望者を65歳まで雇用することが義務付けられています。
(1)定年廃止
(2)定年延長
(3)嘱託などで再雇用
3つから企業は選択しないといけません。
中間発表では、5年長い70歳までの就業機会をいかに与えるかについては、上記3つの選択に加え
(4)他企業への再就職支援
(5)起業やフリーランスになり、業務委託契約を結ぶ
(6)勤め先が出資するNPOなどに参加
の3択を加えるとしています。政府の調べでは就労する60歳以上の8割は70歳以降も働くことを希望している。とはいっても、60歳の定年時の給料と比較すると、働いたとしても落ち込むことが容易に想像できるのではないでしょうか。
そして、高齢になるほど健康問題などで働く意欲は個人差が大きくなる。長く働くのには健康の維持も欠かせないとのことで生活習慣病の重症化予防、がん検診の受診率向上に取り組む自治体には交付金を手厚くして、長く働いてもらおうという環境づくりをしようとしています。
この中間報告では、介護については手つかずで終わっています。医療費より近年給付の伸びが大きい介護。親の介護も自分の介護費も考えるときはきています。
人生100年時代、待ったなしの状況まできています。老後の資金は自助努力というのも鮮明になってきているのではないでしょうか。