不動産売買3年ぶり減少へ 18年度 海外マネー停滞、価格高騰や物件不足で

2018年度の取引額は3年ぶりに減少に転じる見通しだ。昨年度まで積極的な買い手だった海外勢の売買が減った影響が大きい。オフィスを中心に不動産市況は好調だが、新規供給が少ないなかで物件の価格が高止まりし、過熱感が意識されているためだ。日本市場に流入する海外マネーの減少で、不動産価格にも一服感が出る可能性がある。
みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所によると、18年4月から19年2月までの国内不動産の取引額は3兆2568億円と、17年度(4兆9721億円)より3割強少ない水準にとどまった。18年12月以降、売買額の前年割れが続いており、年度ベースでも3年ぶりに減少する公算が大きい。
投資家別では海外勢の取引減少が目立つ。17年度はともに1兆円超だった外資系法人による不動産の売却額と取得額は、18年度は2月まででそれぞれ4776億円、2979億円と急減した。
企業がリストラの一環で不動産を売却する動きが一巡し、新規の物件供給が減少した。一方で、不動産投資信託(REIT)などを中心に国内勢の投資意欲は根強く、不動産価格は高止まりしているため、「投資対象となる物件が減っている」(ドイチェ・アセット・マネジメントの小夫孝一郎オルタナティブ調査部長)ことが背景にあるという。
目立つ案件としては、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人が西新宿プライムスクエア(東京・新宿)を348億円で取得したケースなどがあった。ただ、大型案件は少なくなっており、売買額100億円以上の取引だと18年度は2月までで78件と、前年同期を3割下回る水準にとどまっている。

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