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金利が安いのと物件価格が安いのとではどっちが得?

価格の上昇よりマイナス金利のメリットの方が大きい
「2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を目前に、不動産市場は盛り上がり不動産価格は上がっているので、今は買い時でない」と言う人も多くいますが、個人的な考えは違います。
結論から申し上げると「物件価格は確かに上がり基調ですが、それでも今が買い時です」というのが私の答えになります。
理由は、確かに経済状況から考えると物件価格の上昇というデメリットはありますが、日銀の金融緩和により住宅ローンを始めとしてローン金利は全般的に極めて低い状況です。マイナス金利による融資金利の低下というメリットの方が、これから購入する人にとって影響が大きいからです。つまり、物件価格の上昇は、金利の低下によるメリットを超えるほど、上昇してはいないということです。
金利の低下で言えば、一般の人が売主の仲介の場合と不動産会社が売主である場合では、金利が違ってくることがあります。
売主が不動産会社なのか、一般の人なのかは、金融機関にとってとても大きな問題です。これには、物件引き渡し後に起こる可能性のあるトラブル処理が、大きく関係しています。
万が一、物件の引き渡し後にトラブルが発生した際、売主が不動産会社の場合は、銀行との取引関係もあるため、買主にトラブルで迷惑をかけないように売主としてトラブルを処理をするのが通常です。金融機関は、不動産会社のそういった長期間のアフターフォローに対して、「誰が責任を取るのか」が明確なので信頼を置き不動産会社と業務提携をします。その結果、その不動産会社から物件を購入する際には、買主も低金利での融資を利用してお金を調達することができることができるのです。
しかし、仲介での取引の場合、売主は一般の人になります。そういった場合、購入後に万が一トラブルがあった際には、買主が処理するケースが多いようです。トラブルの規模にもよりますが、それによって不動産投資がうまくいかなくなるケースもあります。仲介会社は、売主から買主に所有権を移転することが仕事の大部分のため、アフターフォローはほとんどありません。驚くことに、大手などの大企業であってもトラブルに対応する部署が導入されておらず全く行わない会社も存在します。そのため、不動産会社と金融機関の間に提携がない場合には、融資金利が優遇されることはなく、金利水準が割高になるのが一般的です。
融資金利差1%は価格差250万円に相当する場合も
上の図は、仮に2000万円の物件を不動産業者が売主の場合と、仲介での取引の場合との比較をしました。まず、物件価格が同じ2000万円だとしても、不動産業者が売主の場合には仲介手数料がかかりません。しかし、仲介の取引の場合には、物件価値の3%+6万円に消費税を加えた金額が仲介手数料としてかかり、この時点で約70万円の差が生まれます。
そして、融資の実行金利が、異なるのが大きな差です。仮に不動産会社が売主だった場合と仲介での取引の場合との金利差が1%あった時の比較をしていきます。物件価格2000万円で頭金を200万円入れたとすると、ローンの金額は1800万円。ローンが1800万円で2%での融資を受けた場合、毎月のキャッシュフロー(収入-支出)は、約1万8000円です。これが融資金利3%だった場合、毎月のキャッシュフローは、約8300円になり、毎月のキャッシュフローは9700円の差が発生します。
家賃の変動がない前提にはなりますが、35年間の総支払いは、差額が約400万円。1%の差が積み重なるとこのような差額が生まれるケースは稀ではありません。
金利差が1%あると同じ収益を得るには、利回りで0.75%程度の差がある物件を購入する必要があり、融資金利3%で約1万8000円のキャッシュフローを得るには、物件価格にして250万円程度、安く購入することが必要です。
「今」受けられるメリットを享受するのが賢いやり方
融資金利が下がる一方で、いくら物件価格が上がり基調だといっても、ワンルームマンションの場合、同じ物件が200~300万円も物件価格が上昇しているわけではありません。10年前と比べて融資金利が、1%以上低くなっている金融機関は山ほどあります。これが、マイナス金利の効果です。同じローン額だった場合、金利が安い方が当然、元金の減りも早くなります。これは売却をする際にも非常に有利なアドバンテージです。
低金利で融資を受けられるのは、マイナス金利政策が実施されている「今」だからこそのメリットになります。サラリーマンに対しての融資総額も年収に対して、10倍から15倍融資を受けられるのも「今」の金融情勢だからかもしれません。
15年前は、サラリーマンに対して10倍から15倍の融資総額を出す金融機関は考えられませんでした。金融機関にとって融資はビジネスです。もし、マイナス金利が解除された時に「今」と同じ水準の金利で融資してくれるか、今と同じ融資総額を融資してくれるのかは、わかりません。それは、その時の情勢次第です。
物件価格は上がるかもしれないし、下がるかもしれないという不確定要素をはらんでいます。そういった不確かなものに頼るのではなく、「今」受けられる低金利のメリットを享受することは、賢いやり方と言えるのではないでしょうか。
マイナス金利で不動産が買いやすいのは、「今」だから
「2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催で、不動産価格は上がっているか?」という問に対しては、もう1つの答えがあります。
オリンピック・パラリンピックがあるから購入している人も中にはいますが、大半はそういう訳ではありません。今、不動産を購入している人は、社会保障不安に対する対策や相続対策という明確なニーズがあって購入しています。今後、社会保障が手厚くなる可能性は低く、今でさえ65歳を超えて働いている人はそこらじゅうにいます。預金を運用せずになにもしないでいることがむしろ最も危険な状況であり、我々の老後は今以上に高齢者の悲惨な生活がメディアで報道されるでしょう。そういった報道がされることで、世間の老後対策に対するマインドは高まり、株価や証券と比較するとリスクの低い不動産投資の需要が増え価格がさらに上がることも予想されます。
物件価格は、需要と供給のバランスで決定します。毎月の収入が得られるスタイルの資産運用が限られている中、社会保障不安があるうちは不動産投資に対する一定の需要があり、その上昨今東京に住む社会人単身者の割合は増えています。2030年には全体の47.2%が単身世帯になるだろうと東京都も発表しています。
東京23区のワンルームマンションは、ワンルームマンション規制で供給が抑えられているからこそ、価格は上昇局面に入っているということです。一方、どこもかしこも物件が建てられるような立地条件では、賃貸需要より物件供給が勝ってしまう問題も発生しています。そうすると、賃料の値下げ競争になりオーナーが得るメリットは少なくなりますので、物件の購入エリアは、慎重に選んでください。
いずれにせよ現在は、マイナス金利政策が実施され不動産が買いやすい時期です。価格が最高潮に達する前の今だからこそ、金利を味方につけて真剣に検討してみてはいかがでしょうか。
人生100年時代。自己資金の低いサラリーマンがとるべき老後破産対策は何か、行動するタイミングは自分で決めるしかありません。