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確定申告 スマホやID方式など可能に
会社勤めの方々は、年末調整の書類提出も終わり、お正月休みに入るということでホッとしている方も多いのではないでしょうか。
今年から年末調整の書類のうち、配偶者控除にまつわる書類が特に複雑になっていて、自分で給与所得の金額を計算して記入するなど確定申告に近い印象を覚えた方もいたことでしょう。
その一方で、確定申告は少しでも便利に行えるような対応が強化されています。フリーランスの人は電子申告に慣れておけば、2020年に減税のメリットが受けられる可能性もあります。
確定申告の方法
確定申告を自分で行う方法は、大きく以下の3つです。
①自分の住んでいる地域の税務署に足を運ぶ(毎年、一部税務署は2月の日曜に2日開署します)
②国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」で作成し印刷→投函
③同じく「確定申告書等作成コーナー」で作成し、提出も電子で行う(いわゆる電子申告)
今後は3の電子申告によって減税につながる人も出てきそうです。電子申告をより手軽にできるための方法が増えていますので、ご紹介します。
カードリーダーの要らない電子申告
確定申告で電子申告するためには、通常、マイナンバーカードを取得し、カード情報を読み取るためのカードリーダーを準備する必要があります。
ところが、19年(18年分確定申告)の確定申告では、AQUOS、arrows、Xperia、Galaxyなど、一部のアンドロイド端末をカードリーダー代わりに使うことができ、スマートフォンで電子申告までできるようになります。
さらに19年からの暫定措置で、マイナンバーカードやカードリーダー、対象のスマホ端末を持っていない場合でも、電子申告が可能になる「ID・パスワード方式」が始まります。
ID・パスワード方式を利用するには、運転免許証などの身分証明書を持って一度税務署を訪れ、IDとパスワードを発行してもらう必要がありますが、このIDとパスワードを入力すれば電子申告ができるので、マイナンバーカードやカードリーダー、対象スマホは必要ありません。
つまり、19年の電子申告は、従来のマイナンバーカードをカードリーダーに読み取りさせる方式に加えて、対象スマホを利用する方法、ID・パスワード方式で行う方法と、利用できる手段が拡充されるのです。
過去に電子申告した人もID・パスワード方式が可能
過去に電子申告を行ったことがあり、利用者識別番号を持っている人は、利用者識別番号をメモして税務署に行くと、ID・パスワード方式も選ぶことができる番号に更新することができます。
利用者識別番号をきちんと把握している場合、住んでいる地域の管轄税務署でなくても手続きを済ませることができます。
フリーランスは電子申告で減税も
20年からは年収850万円超の会社員は実質的に増税になります。同じタイミングで、フリーランスや自営業者は、電子申告を行うことが「減税」につながるルールが施行されます。
所得税の計算は、「収入-経費-各種控除=課税所得」の算式で導き出される「課税所得」に税率をかけることで決定します。つまり、経費や控除が多いほど、納める所得税は少なくなります。
20年からは、会社員にとっての経費にあたる給与所得控除が全体的に10万円引き下げられ、誰もが受けられる控除である基礎控除は10万円引き上げられます。
経費と控除が同額ずつ減って増えるため、税額が変わらない会社員も多いです。一方で、年収850万円を超える人は、実質増税になります。給与所得控除の上限額が220万円から195万円になるとともに、上限額が適用される年収が850万円に引き下げられるからです。
フリーランスなどの個人事業主も同様に基礎控除は10万円引き上げられますが、青色申告特別控除の額が65万円から55万円に10万円引き下げられるため、何もしなければ実質変化はありません。
ところが、青色申告特別控除を受けている人が正しく帳簿をつけ、電子申告を行った場合は、青色申告特別控除の額が65万円のまま据え置かれます。青色申告特別控除が据え置かれ、基礎控除が増えることになるため、合計で課税所得が10万円低くなり、減税につながるのです。
この減税のメリットを享受するには、正しく帳簿をつけることはもちろんですが、電子申告をしなければなりません。
そこで、19年の確定申告ではID・パスワード方式を試しつつ、20年に向けて電子申告に移行するトレーニングをしておけると良いかもしれません。