老親の家計管理の助け方

「最近、物忘れが激しくなってきたので認知症の検査を受けさせたい」。
親世代が高齢になって書類を見たり、手続きに行ったりするのがおっくうになると、子どもが老親の健康を気にかけたり家計管理の手助けをしたりする必要がでてきます。
65歳以上の一人暮らしや夫婦のみの世帯は2017年に1270万世帯となり、全世帯の25%を占めています。これは、4世帯に1世帯が高齢者のみで暮らしていることになります。
親に衰えが見えてきたら、まずは医療費の管理から手伝ってみると良いでしょう。親としても子どもに体調を気遣ってもらうのは嬉しいものです。

75歳以上でも課税所得が145万円以上の場合「現役並み所得者」という扱いになり、窓口での自己負担割合は3割になります。
夫婦2人の年収の合計が520万円未満なら「基準収入額適合申請」という手続きをすれば1割負担になります。親の資産状況や収入状況について話しにくいという場合、金融資産に比べると、役所からの通知なら子どもが見ても抵抗が軽減されるかもしれません。

老後破産対策

固定資産税の通知書を確認し、納税し忘れていないかをチェックするところから始めても良いでしょう。家の話をきっかけに、火災保険や地震保険に加入しているかといった話題をしていくのも手です。

預貯金でいえば、来年1月から休眠預金を活用する取り組みが始まります。
民間の金融機関では10年以上放置された預金が対象で、社会事業に生かすためにNPOなどの活動資金にしてもらう取り組みです。
ですが、預金が没収されるわけではなく、金融機関に申請すればいつでも払い戻してもらうことができます。
今後、休眠預金がある顧客には郵送などで通知される予定なので、親世代に休眠預金が無いか、子どもとしては気をつけておきたいポイントです。

株式や投資信託を保有している場合、証券会社から年に1回以上、「取引残高報告書」が届きます。複数の証券会社に口座を持っていて、一方の口座で利益が出て源泉徴収課税された場合も、別の口座で損失が出ていれば、確定申告で損益通算すれば課税された税金が戻ってくる場合があります。損失を引き切れない場合、3年間の繰り越しが可能です。

老後破産対策

いよいよ歩くのが辛くなり外出が面倒になってしまうと、預金の引き出しも大変になります。
その場合、親子で金融機関に出向いて子どもが親の任意代理人になる手続きをすれば、子どもが一定の範囲で親の預金口座からお金を引き出せるようになります。
また、地域の社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」という有料サービスを利用するという手もあります。生活支援員という人が日常生活に必要なお金の引き出しなどを手伝ってくれるサービスで、利用する場合は面談して支援計画をつくり、協議会と契約を結ぶ仕組みです。

親の家計管理を手伝うといっても、実はモノの管理が大事です。
例えば、役所への申請で必要になるマイナンバーカードやその通知書、印鑑登録証などは役所関係のファイルにまとめておくとか、自宅の権利証や保険証券などは重要書類として保管場所を決めておくとよいでしょう。家計管理以外でも、普段使う病院の診察券や健康保険証などはお薬手帳と一緒にしておいたり、無料で受けられる予防接種や健康診断の案内を確認したりして、受診を勧めるだけでなく一緒に行くといいでしょう。
こうして親とコミュニケーションをとっておけば、いざというときも慌てなくて済むでしょう。

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