銀行の「休眠預金」、郵政民営化前の「睡眠貯金」失う前に確認を

10年以上放置された預金「休眠預金」を社会事業に生かす「休眠預金制度」が2019年1月から始まります。
金融機関に申請すれば払い戻せる仕組みですが、引っ越しや転職で把握が難しい場合もあり、本人の確認が大切になります。滞留する休眠預金は毎年700億円に上ります。
今年1月に施行した「休眠預金等活用法」に基づき、2019年からNPOなどの活動資金として分配されます。国が私有財産を生かす異例の試みですが、休眠預金は没収されるわけではありません。憲法が定める財産権を守り、金融機関に申請すればいつでも払い戻すことが可能です。
そのためには、まずは自らが休眠預金の有無を確認する必要があります。金融庁によると17年3月期に発生した休眠預金は約1270億円で、うち払い戻しは約569億円と、半分以下でした。10年間で約6000億円が滞留するペースです。
「放置」の定義は、預金口座からお金を出し入れしていないことです。通帳記入や残高照会だけでは取引とみなされない可能性もあるから注意が必要です。銀行ごとに条件が異なるため、問い合わせる必要があります。財形貯蓄や外貨預金は対象外となります。
払い戻しを申請するには、通帳や口座番号など過去の取引を確認できる書類を用意した上、通帳や印鑑、免許証などの本人確認書類を持参すれば銀行の窓口で引き出すことができます。
金融機関は、残高1万円以上の預金者に対して登録した住所に郵送で通知しますが、受け取ったことを確認できなければ休眠預金の対象となります。特に銀行や支店の統廃合などで預けた銀行名すら分からなくなったり、本人が認知症で分からなくなったりすることもあります。大手銀行によると、そのような場合も、まずは銀行に相談すれば本人確認を進めてくれるとのことでした。

昔の郵便貯金は、さらに注意が必要です。郵便貯金は「睡眠貯金」と呼ばれており、郵政民営化前の2007年9月末までに預けた定期や積立金は、満期から20年2カ月を過ぎると、払い戻しの請求権利そのものが消滅してしまいます。
財産権の侵害のようにも思えますが、政府が権利を消滅できる旧郵便貯金法の決まりに基づいた措置で、お金は国庫に納付される仕組みです。通常貯金は対象外で、6カ月後から払い戻せる「定額貯金」、「定期貯金」、「積立貯金」、「住宅積立貯金」、「教育積立貯金」などが対象となります。
現在は、1998年9月に満期を迎えた定期貯金などの権利が無くなっています。対象者には満期から20年で権利消滅の催告書が届きますが、引っ越しなどで登録住所を変更していない場合は気付かない恐れがあります。満期後10年までに通帳の再交付や住所、氏名の変更といった手続きがあれば、払い戻す場合もあるそうです。
郵政民営化後の2007年10月以降に預けた貯金は他の金融機関と同じように権利が消える恐れはなく、払い戻すことができます。
郵便貯金・簡易生命保険管理機構によると、07年度以降に権利が消えた郵便貯金は975億円以上、10年以上手付かずの睡眠貯金は約4500億円に達するそうです。

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