超高齢化社会への序章始まる

「敬老の日」を前に総務省が16日に発表した推計人口(15日時点)によると、70歳以上の人口は前年比で100万人増の2618万人だった。総人口に占める割合は20.7%と初めて2割を超えた。65歳以上の高齢者も44万人増の3557万人で、全体の28.1%と過去最多となった。超高齢化社会への早急な対応が迫られる現状が浮かび上がってきた。
70歳以上の人口の増加は、1947~49年生まれのいわゆる「団塊の世代」が17年から70歳を迎え始めたことが背景としてある。65歳以上の人口を男女別にみると、女性は24万人多い2012万人で、2千万人を初めて超えた。男性は20万人増の1545万人。

65、70歳以上人口グラフ
地方や中小を筆頭に企業の人手不足は深刻さを増しており、労働市場でも高齢者が担う役割が拡大している。17年の高齢者の就業者数は807万人と過去最多となり。増加は14年連続である。65歳以上の人口に占める男女別の就業率は男性が31.8%、女性は16.3%で、いずれも6年連続で上昇している。
就業者総数に対する高齢者の割合も12.4%と過去最高となり。政府は継続雇用年齢の引き上げや年金制度の見直しなどで、高齢者の就労を後押しする姿勢だ。
高齢雇用者の約4人に3人は非正規の職員・従業員が占める。実に74.4%にのぼる。非正規を選んだ主な理由は「都合のよい時間に働きたい」が最多。家族の介護をしている高齢者の数は17年に197万2千人おり、このうち4人に1人は働いている。体力や家族構成など抱える事情は人によって異なる。働き方の多様化も必要だ。
総務省は高齢者の人口移動に関するデータも併せてまとめている。転出が転入を上回る「転出超過」は最も多いのが東京都、転入が転出を上回る転入超過は埼玉県が最多であった。定年退職などをきっかけに東京から周辺の近県などに移り住む人が多いからだという。
高齢者世帯の消費の特徴も盛り込んでおり、世帯主が65歳以上の2人以上の世帯では、ヘルスケア関連の保健医療への支出が非高齢者世帯の1.69倍と高かった。

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