2019年から“休眠貯金”になり没収!?10年放置したあの銀行口座は…

▼自分の口座なのに休眠貯金は引き出しも残高照会もできない!なぜ!?

書類整理をしていると、しばらく使っていない通帳が…。いわゆる休眠貯金です。
1999年1月5日付けで残高5701円。翌日ATMに向かい、19年経っているのですんなり下ろせるのか不安を持ちつつ試みたところ、結果はNG。『窓口へご相談下さい』というエラー表示が出てしまいました。
長い間利用していないため、休眠貯金になったのです。
これがメガバンクの口座なら、近くの支店に手続きに行けばいいのですが、
北海道に本店のある地方銀行のものなので、ちょっと面倒…。

この休眠貯金、通帳には『5701円』と記載されているけれど、もしかしたらキャッシュカードで引き出し済みで残高は数百円かもしれない。
もしそうなら、わざわざ行く手間をかけるのもどうかな?と思ったのですが、休眠貯金だとATMで残高照会もできないので、実際の残高がわからないです。
仕方がないので東京支店に出向くことにしました。
今年の1月に施行された『休眠預金等活用法』のこともあるし、読者の皆さんに伝えたいことも出てくるかも知れないし、動いてみることにしたのです。

地銀の東京支店は、日本橋界隈にあることが多いです。その地銀も日本橋で日銀の裏手のビルの6階にありました。余談ですが、銀行の業界用語では路面店ではなくビルの中に入っている支店のことを『空中店舗』というそうです。個人客向けの業務がほとんどない支店なのでしょう。

6階に上がり普通の会社の受付のようなところで「ATMでエラーが出たので、休眠口座になっていると思うのですが」と通帳と印鑑を差し出すと、窓口の女性は日付を見て「そうですね、休眠貯金です。お調べして、解約手続きをとりますのでお待ちください」と奥に引っ込みました。
復活の選択肢はなく、解約なんだ…。

20分程経ったところで「休眠貯金になってしまった口座を開設した支店(札幌)に照会をかけているので、もう少々お待ちください」と言われ、さらに10分くらい待ちました。すると「休眠貯金の状態が長いため端末では履歴が出ず、口座を開いた支店にある帳票を調べなくてはならない」と窓口の女性は言いました。
えー、手作業で紙を調べるの…?
お手数をお掛けして申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

結局、この休眠貯金の残高は5701円に利息が付いて5765円でした。解約手続きをして、現金を受け取り支店をあとにしました。

長期間動きのない口座のことを『休眠預金』といい、なんと毎年、数百億円も発生しているそうです。放置された休眠預金口座のお金を社会のために有効活用する観点から、「休眠預金等活用法」が2018年1月に施行されました。

銀行や商品により休眠預金となる年数が、この法律ができる前は違っていましたが、
施行後は『2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引がない預金を休眠預金とする』と統一されました。対象となる商品は、普通預金・定期預金・貯金・定期積金など。
財形貯蓄や外貨預金などは対象外となっています。

「社会のために有効活用」とは、具体的には「子ども及び若者の支援」、「日常生活を営む上で困難を有する人への支援」、「地域活性化等の支援」等に関わる活動を行う、民間公益活動に助成金を出したり貸付をすることです。休眠貯金はその原資の一部になるわけです。

10年以上取引がない預金は、2009年から、休眠預金として預金保険機構に移管されるなど、
個別に管理される場合があるといいます。法律ができる前は各銀行の管理だったので、この点が大きく変わりました。

2009年1月から10年、つまり施行後の『新』休眠預金は、来年2019年1月から発生し始めます。いきなり「預金保険機構に移管」というのは乱暴なので、銀行は最後の取引から9年が経過し、10年6ヶ月までの間に「ウェブサイトでの電子公告」や「郵送による通知状の発送」など休眠貯金の名義人へ一定の手続きをとらなくてはなりません。
「ウェブサイトでの電子公告」とは、HPに掲載される「お知らせ」のことです。
残高が1万円以上の場合は「休眠預金に該当する(しそうな)口座がありますよ」と個別に預金者に通知状を郵送します。ただし、1万円に満たないと通知されずに休眠預金となります。また、銀行が送った通知状が転居先不明で届かない場合も休眠預金となります。

 

▼10年超えた口座、自分のお金はどうなる…?

ここまで読むと、法律施行後は「10年以上放置していた預金貯金、自分のお金は没収されてしまうのか」と気になることでしょう。

結論から言うと『休眠預金となっても、解約できます』。
ただし、預金保険機構にいったん移管されてしまうと、解約手続きをして現金を受け取るために日数を要する可能性が高いのです。

私が現状の『各行管理の休眠預金』を解約するのに30分以上の時間を要したくらいなので、来年以降、預金保険機構に移管されると、その場ですぐに解約とはならないことが十分に予想されます。
ちょうど夏休みシーズンなので、これを機に長らく使っていない預金がないか、通帳の整理をすることをお勧めします。
家族にも確認するよう呼びかけたら、夫、同居の義母のそれぞれ一口座ずつ、休眠預金が見つかりました。
我が家の場合は全員1万円未満。来年まで放置しておくと郵送による通知状がくることもなく、預金保険機構に移管されるケースでした。見つけておいてよかった…。

休眠預金が見つかったら、まず口座を開いた支店に「休眠預金を解約したい」と電話しましょう。電話を1本入れておくと、帳票調査を事前に済ませておいてくれるので、支店で長らく待つことを避けられると思います。その時に来店時に必要な持ち物も教えてくれるでしょう。支店が統廃合され口座開設支店がない場合や、銀行が合併されている場合も、銀行のコールセンターへかけ、同様のことを言えばよいです。

2009年1月から10年が経つ今年の年末に『休眠預金活用法』の話はメディアの話題になりそうです。
その時期に「今年中に解約するのがスムーズ」と言われても、12月は何かと忙しいので結局銀行に行けずじまいになると思われます。
そういう意味で、行動を起こすなら今が最適です。夏休みの時間を少し利用して、解約手続きをするといいでしょう。

 

▼聖徳太子のお札を持っていていいことってある?

休眠預金探しをしていたら、古い1万円札が出てきました。
※1986年に廃止になった聖徳太子が絵柄の大判の紙幣
「将来価値が上がるかもしれないから、古いお札であげる」ともらったもの。
その存在をすっかり忘れていたが、FPになった今となっては、1万円は1万円、いつまで持っていても価値は上がらないことを知っています。

聖徳太子の旧札は、流通量が多く希少価値がない、今でも有効な紙幣、この2つの理由から「1万円は1万円」、それ以上の価値はないということです。

今でも有効とはいっても、お店で使うと迷惑だろうから、私は休眠預金の解約のついでに「福沢諭吉」のお札に両替しました。
相続発生時までそのままにしておいたとしても、そのときに両替すればいいだけ。価値は上がらないが、下がるわけでもないし、休眠預金のように手間のかかる手続きの必要もありません。

私は休眠貯金の5700円と、聖徳太子の1万円の両替で、1万5700円の臨時収入を得た気分でした。上の世代の人は、聖徳太子のお札はいつか価値が上がると、まだ考えるものなのですね。

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