老後破産回避の切り札リバースモーゲージに壁

不動産と電卓

2018年7月14日の日本経済新聞にリバースモーゲージの記事が掲載されていたので、ご紹介させていただきます。
老後破産の対策として有効な方法の一つと言われているこの「リバースモーゲージ」ですが、実情はどうなっているのか参考までに見ていきましょう。

自宅を担保に老後資金を借り入れ、そのまま住み続けるリバースモーゲージ。長寿社会で老後破綻(老後破産)を回避する切り札とされてますが市場が広がっていません。約60のメガバンクや地銀などが扱っていますが、融資残高は1000億円強にとどまっています。
普及が進まない背景には2つの理由があります。

1つ目の理由は、リバースモーゲージを「利用したい人」と金融機関が「融資したい人」とのミスマッチです。

都内に住む会社員のAさん(47)は、母親が住む新潟県内の実家でリバースモーゲージを活用しようと地銀に相談に行ったところ、 「担保価値が低すぎるし、今後も下がり続ける。融資は難しい。」と担当者から言われたといいます。
父親は既に他界し、母親は一人暮らし。Aさんら子供は将来、実家を継ぐつもりはなく、母親が自宅を担保に融資を受け、その資金を介護施設の入居一時金に充てる計画でした。Aさんは「融資が無理なら売却するしかない」と悩みます。

リバースモーゲージは自宅の担保評価額に応じて老後資金の融資を受け、契約者が死亡すると自宅を売却して返済するというのが基本形で、家を失うことなく生活費を調達できるため、1980年代から注目を集めてきました。バブル崩壊後の地価下落で90年代に下火になったが、2005年ぐらいから再び商品化が進んできました。
65歳以上の持ち家比率は8割を超えており、収益機会が限られるなか、利ざやが稼げる個人向け融資は、潜在需要は5兆円規模ともいわれており有望分野です。 2013~2015年にはリバースモーゲージにメガバンクが参入したほか、地銀も積極的に取り組み始めました。
しかし、実際に融資実行に至る例はまだ少ないといいます。
総務省の家計調査によると、60歳以上の2人以上世帯の貯蓄額は「1千万円未満」が36%を占めており、リバースモーゲージの需要は、こういった「家はあるが貯蓄は少ない」という層にあるはずなのに対して、金融機関とするとリバースモーゲージには地価下落リスク、金利上昇リスク、長生きリスクがあり、いずれも担保割れにつながるため、融資額を堅めに設定せざるを得ないという状況があります。そのため、対象不動産を1都3県の高額資産に絞ったり、保有金融資産の額を3千万円以上としたりする金融機関は多く、「借りてほしい層」と需要層にズレが生じてしまっているのです。
受けられる融資は担保不動産の5~7割程度が一般的で、大手行の住宅ローン担当者は「負債を相続人に負わせる事態になるのは銀行の評判上、避けたい」とも打ち明けています。

普及を阻む2つ目の理由は中古住宅流通です。

日本では木造住宅の家屋の大半は20年で価値がゼロになってしまうため、中古住宅市場が成長しない状況があります。
リバースモーゲージでも、一部の金融機関は高級マンションは対象にするが、大半は担保として土地しか評価していないのが現状です。ニッセイ基礎研究所の矢嶋氏は、「建物の価値を正当に評価する制度を構築することが大切」と指摘しています。
米国では様子が全く異なっており、リバースモーゲージの市場規模は20兆円強に及んでいます。拡大した背景には、米連邦住宅局が民間金融機関に保険を付与し、担保割れの場合の損害をカバーする「HECM」という仕組みがあります。
日本でも住宅金融支援機構が機構が、担保価値の下落リスクを負うHECMの日本版といえる「リ・バース60」を始めており、金融機関と保険契約を結び、契約者の死亡時に担保不動産を売却しても返済できない場合、機構が保険金を支払う。2017年度には38の金融機関が取り扱っており、リバースモーゲージの融資実績は計8億円強になっています。
中古住宅の建物評価の仕組みも動き出しており、国土交通省は2017年、建物調査が施された中古住宅にお墨付きを与える「安心R住宅」を導入しました。
「本格的な長寿社会で老後破綻を防ぐには、リバースモーゲージのような金融商品が不可欠です。いまこそ官民挙げての取り組みが求められています。」と記事では締めくくられている通り、現実問題として老後破産は存在しており、その対策として期待されたリバースモーゲージも上手く機能していないのが現状です。
少子高齢化のまま「人生100年時代」といわれる長寿化を迎えており、年金も先細りしてしまう可能性が高いと言われています。現役時代に何もしないまま老後を迎えた際、年金だけでは不足してしまう生活費を貯蓄から補っていくという生活はいつまでも続くものではありません。もし突発的な出費があったりした場合、予想よりも早く貯蓄が枯渇してしまい、老後破産に陥ってしまうなんてケースも現実味を帯びてきます。
老後破産にならないため、その不安に怯えずに老後を過ごすためにも、年金とは別に毎月の不足分を補えるだけの収入を得る仕組みを作っておく必要があるのではないでしょうか?
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