高齢者の医療費 75歳以上への拡大検討

6月9日の日経新聞に高齢者の医療費負担額に関する記事がございましたので、ご紹介します。
保険証を持って病院に行く際、窓口で支払う自己負担の割合は年齢などで異なります。医療サービスの給付は増加の一途で、負担割合の見直し議論が出ています。

老後破産 保険料負担額
※2014年4以降70歳になった人から順次2割負担へ。それ以前に70歳に達していた人は1割

現在、医療費の窓口負担割合は図の通りです。
小学校入学までは2割、入学から70歳になるまでは3割となっています。ただし、子どもについては自治体が助成して負担を減らすケースが多く、実質負担は0の自治体が多いため実感はないかもしれません。現役世代の大半が3割負担で、70歳以上は所得により異なります。70~74歳は「現役並み所得者」が3割、「一般・低所得者」は原則2割です。75歳以上の後期高齢者は3割、1割となります。
この仕組みは後期高齢者医療制度が始まった2008年に決定しました。
それ以前には、加入する医療保険制度によって割合が異なったり、被保険者と被扶養者が一律でなかったりした時期もありました。高齢者が年下の世代から切り離されたのは1973年で、当初70歳以上は無料でしたが、その後1割負担となりました。
70~74歳は08年に2割に引き上げられたのですが、反発もあり、年間約2000億円の予算を投じて1割に凍結されました。この特例措置はその後見直され、2014年4月以降に70歳になった人から順次2割になっています。これらの人も75歳になると1割に減ることになります。
高齢化により医療給付は年々膨らみ、今後も増加し続けることが予想されます。そのため、財源を確保するためには税金の投入や保険料の増額、患者の自己負担の見直しが考えられます。
国では高齢者の自己負担の見直しを議論しています。2割負担の70~74歳の人について、75歳になっても1割に減らさずに2割のままとする案です。凍結が解除されて最初に2割になった人たちは19年度に75歳になります。すでに後期高齢者になっている人も数年かけて2割に引き上げることが提案されている段階で、今後の行方が注目されています。
70歳以上の負担割合は所得により分かれますが、負担3割の「現役並み所得者」は、具体的に以下のような人を対象としています。
国保も後期高齢者医療制度も、課税所得が145万円以上ある人が原則、該当します。この場合、本人だけでなく同じ世帯にいる妻も現役並みの負担となります。ただし、世帯年収の合計が520万円に満たない場合は対象外となります。例えば夫婦の年収が合計500万円であれば、現役並み所得者から外れることになるのです。
厚生労働省の資料によると、現役・夫婦2人世帯の平均的な年収は386万円です。このため、政府は年収520万円という基準について今後見直しを検討する予定です。仮に実現して年収基準が引き下がれば、現役並みの3割負担となる高齢者の範囲が拡大することになります。

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