資産形成するリスク、しないリスク

2019年は「老後破産」や「人生100年時代」、「2000万円問題」が話題となる等、個人の資産形成がクローズアップされた一年となりました。

日本社会で少子高齢化が進んでいる中、こうした傾向には今後一段と拍車がかかることは間違いないでしょう。

そもそも何故個人の資産形成が大事なのでしょうか。人生100年時代を今後迎える私たちにとって「何故資産形成が大事なのか」、2020年を迎える前に今一度考えてみる機会にして頂けましたら、幸いです。

老後の生活を謳歌するために

通常現役時代であれば、サラリーマンとして会社に就職することで、収入を得て暮らしていくことができます。

もっとも老後となれば、年金等の多少の補助やサポートはありますが、それらが現役世代と同じくらいの生活を充足しているものとはいえないのではないでしょうか。

詰まるところ、現役時代に得た収入を崩して生活することになるでしょう。しかしそれでは、目減りする貯蓄にストレスを抱えながら、いつまで生きるか分からない不安を抱えながら生きていかなければなりません。資産形成は、そのために必要となるのです。

日本では少子高齢化が進み、将来的には人口の4割が65歳以上になる社会が迫っております。

2015年に20歳であった現役層は2065年には70歳となり、社会保険や医療保険、年金、介護保険等多種の公的サービスにおいて支える側から「支えられる側」へとなります。ただし、これからの時代の本質的な問題は、今と比べて高齢者が増えていくことではなく、現役層が大幅に減っていくことであることを注意していただきたいです。

こんなデータも本質的な問題を裏付けています。1955年には日本の総人口は9000万人を下回っておりましたが、当時の65歳以上の比率は5.4%に過ぎませんでした。なんと2065年の9分の1です。現役層に限ってみれば51.6%で、2065年47.6%に比べ、4ポイントほど高いだけです。また19歳以下であれば43.0%を占めています。

つまり今から約60年前と50年後では、1人の現役層が支える高齢者と未成年者合計の比率はほとんど変わりません。もっとも支えていかなければならない層に着目してみると、1955年の現役層が支えていたのは主に未成年でありましたが、2065年には1955年当時の未成年と同じくらいの高齢者を現役層が支えていかなければならないことになります。

支える対象が未成年層から高齢者層になると、別途課題が発生してきます。まず、社会全体のコスト面です。社会全体として支えられる1人辺りのコストは、未成年層より高齢者層のほうが高いです。医療や介護等公的サービスを享受する機会が多く、コストがかかることが十二分に想像できると思います。つぎに高齢者層を現役層が支えなければならないという心理的課題も生じてきます。

我が国では、個人金融資産の大半を高齢者が保有しているという事実があります。すなわち、資産を有している層と負担層との間に絶対的な隔離が生じているのです。

「2000万円問題」がテーマになった際に、金融庁の対応が話題となりましたが、高齢者に資産形成をというよりも現役層に資産形成を奨励するような意図があったのもこのような事実を反映しているのでしょう。

資産形成を「しなかった場合」の将来も考慮すべき

金融庁は2017年から公的な書面の中で「貯蓄から資産形成へ」という言葉を使い始めました。自助努力の大切さについては、テレビや新聞等を通して、認識し、考える機会が増えたように思います。もっとも自助努力の大切さについては、十分認識しているが、その後行動を起こせていないような人も多く見られるのではないでしょうか。

資産形成をはじめとした自助努力をする際に、大事なことは「資産形成のリスクをどの程度まで許容するのか」だと思います。資産形成をしない場合の「リスク」と資産形成をする場合の「リスク」とを比べ考えることが求められています。具体的には、どちらのリスクならば許容できるか、なによりコントロールできるかです。

資産形成しないリスクを許容した場合、先述したとおり日本の少子高齢化によって、年金の受給額が減少したり受給までの期間が伸長したり、医療費の負担割合が増加したり等国の動向や政策によって大きく左右されます。そして、これは将来長期に渡って改善されることもないというリスクもあります。詰まる所、自分ではコントロールできないような範囲に置かれることになるのです。

資産形成するリスクを許容した場合、例えば不動産投資であれば、金利上昇や空室、原状回復費等の予想外の出費等のリスクを負います。もっともこれらのリスクを回避する為に、お金をプールしておき、キャッシュフローを強く太くすることで、改善できます。投資商品を自分でコントロールできるような範囲に置くことは決して無理ではないのです。

資産形成を行う事で、リスクがあることは否定できません。もっとも資産形成を行わない事にもリスクはあるのです。自分自身にとって、本当のリスクとは何なのだろうか。資産形成するリスクと向き合い、将来の自分自身を考えていって頂きたいと考えております。

前向きな考え方については弊社のセミナーや個別相談まで足を運んでいただけると幸いです。

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