親類がいても『孤立死』増加傾向

老後破産を防ぐ

10月22日の日経新聞より、単身世帯の増加により増加している孤立死の問題に関し、ご紹介いたします。

誰にも気付かれることなく死亡する「孤立死」。
高齢の単身世帯の増加に伴い、孤立死を生むリスクも高まりを見せています。
職場を引退後、次第に親類や友人と疎遠になり、いつの間にか都会の片隅で忘れられる――。
ある高齢者の孤立死の現場は、決して他人事ではない可能性があることを教えてくれました。

今年8月、東京都内の住宅街にある古い2階建て1Kアパートの一室で、75歳の男性が亡くなっているのが見つかりました。遺体は死後1カ月が経過しており、既に異臭を放っていました。ただ事ではない臭いに気付いた近所の人が通報し、発見に至ったのです。
男性はこの部屋で、40年間1人暮らしをしていました。

新潟県で生まれた男性は7人兄弟の四男。中学を卒業後、高度成長期の集団就職で上京し、イベント会場を設営する会社を勤め上げました。定年退職後は、3歳年下の弟など東京にいる親類と行き来をする、きままな年金暮らしを満喫していました。
数年前、病気で足を悪くし、一人では出歩けなくなったことが男性の孤立を深めるきっかけとなりました。弟は「兄が『部屋が汚いから入らないでくれ』と言うので、親族も会いに行く頻度がだんだんと減っていった」と話しました。
遺族は荒れ果てた部屋の原状回復と遺品の整理に困り、遺品整理の専門業者「キーパーズ」(東京・大田)へ依頼。10月初旬、作業員4人が片付け作業を請け負いました。

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(画像:日経新聞より)

作業員と共に部屋へ入ると、強い臭気が鼻をつきます。部屋に散らばった虫の死骸とカーペットに出来た黒いシミが、発見までの時の経過を物語っていました。空き缶や読んだ形跡がない新聞が積み重なり、長い間使われていなかったであろうキッチンは調理器具で埋まっていました。
作業員は、たんすの引き出しやカバンのポケットを1つ1つ確認し、遺族に引き渡すものがないかを入念にチェックしました。作業員の中村さん(45)は「遺族にしか分からない大事なものが隠れているかもしれない」と、きめ細やかに作業に取り組みます。
生前はカメラが好きだった男性。貴重品を入れた段ボール箱から、家族旅行や兄弟の結婚式の様子をおさめた約10冊のアルバムが出てきました。「こんなに綺麗な状態で残っているなんて。懐かしい」と、遺族の顔が少しほころびました。
約5時間後――。清掃が終わり、男性の孤立死の痕跡は消えました。遺族は帰り際、「孤立死が増えているとは耳にしていたが、まさか身内がそうなるとはね」とつぶやきました0。
「孤立死」や「孤独死」に厳密な定義はありません。東京都監察医務院によると、2017年に東京23区内の自宅で1人で亡くなった65歳以上の人数は約3300人で、10年前から約4割増えています。未婚率の上昇を踏まえれば、今後も増加していくことが予想されます。
前出のキーパーズが全国で引き受ける遺品整理は年間約1800件に上り、40~50代の孤立死現場も少なくありません。吉田社長は「孤立死のリスクはどんどん高まるだろう。他人事として捉えないでほしい」と話しました。
今、身の回りにいる友人や家族たちが年を重ね、死を迎えるその時もそばにいてくれるでしょうか。この問いに、迷いなくイエスと答えられる人は、どれだけいるでしょうか。
孤立死は誰にとっても身近な問題になっているのです。

総務省の国勢調査や国立社会保障・人口問題研究所によると、65歳以上の高齢者で1人暮らしをしている人の割合は1990年時点では男性が5.2%、女性が14.7%でしたが、2015年にはそれぞれ13.3%と21.1%に上昇しています。2040年には男性20.8%、女性24.5%になると推計されています。
孤立死を防ぐためには、日常的に身近な人と会話を交わすなど、社会と接点を持ち続けることが重要です。内閣府の「平成30年版高齢社会白書」によると、単身で暮らす55歳以上の人のうち、家族や友人と「ほとんど毎日会話する」と答えたのは54.3%。一方で「週に1回以下」とした人も19.6%に上りました。

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