寄せられた相談からわかる不動産投資のポイント ◆アパート編◆

サブリースを過信してはいけない

一般の人が、不動産投資といって真っ先に思い浮かぶのはアパート経営でしょう。セミナーに来られる人の中にも、アパート経営を行っている人も多いのが現状です。

アパート経営を行っているオーナーからよくご相談されるのは、空室対策とリフォームについてです。「空室が埋まらないのですが、何か方法はありませんか?」とよく相談を受けますが、現状を考えると、アパート経営の今後は明るい見通しがあるとは言えません。

2016年6月、民放のビジネスニュース番組でアパートの空室率急上昇が、トップニュースで紹介されました。理由は、相続対策でアパートの建築が増えたことにより、その地域内で物件が供給過剰になり入居者の獲得競争が激化したからです。特に、神奈川県は、2015年初頭に30%だった空室率が、2016年3月には35%超まで急上昇しております。そのため、部屋をどんなに綺麗にしても設備投資しても、入居者が入らないという声も紹介されていました。今、こういったオーナーの相談が増えています。

アパートの問題は、これだけではありません。アパート経営のCMでよく見る30年に渡る長期の家賃保証契約(サブリース)についても、トラブルが頻発しているようです。件数でいうと国民生活センターが、特集を組むレベルで発生しています。

新築の間は当然家賃が高くつきますので、購入時に提案されたプラン通りにアパート経営をすることが可能になりますが、いつまでも同じ家賃が続くわけではありません。通常サブリース契約には、2年毎に家賃の見直しというシステムがあり、この2年毎の見直しのたびに家賃が下がることで、当初の収益が得られないということが問題になっています。

 

物件乱立で下がる家賃

この問題も相続対策によるアパート建築が進むにつれて、さらに深刻化してくることは容易に予想できます。次章以降で詳しく説明しますが、建てようと思えばだれでも建築できる立地では、資産価値が維持しにくいのが現状です。このようにアパートが乱立すると空室を埋めるために家賃を下げて対応するしか方法がなく、こうした家賃競争でオーナーが得られるメリットはあまりありません。

人気がない1階部分は特に工夫しないと入居者がつかないという現実もあります。

「音がうるさくて腹が立った」といった騒音トラブルで、兵庫県尼崎市と東京の江戸川区において相次いで殺人事件が起こったことは記憶に新しいでしょう。アパートのデベロッパーとしては、利回りを向上させるために建築費用を抑えて分譲したいという心理が働きます。しかし、建築費用を抑えることで、先々余計な躯体のメンテナンス費用が必要となったり、床の防音費用を抑えたため騒音トラブルが起こることも多くあるのが現実です。そういった騒音トラブルや防犯機能の稚拙さ、構造による耐震性の不安を避けるために、アパートを敬遠する入居者が多いことも見逃せません。

アパートは、マンションに比べて建築費が安いために相対的に利回りが高めですが、一方で、人気のない1階を所有する必要があり、防音や耐久性に問題があるというアパート特有のリスクも抱えます。

今後も相続対策で物件が乱立すれば、賃料を下げざるを得ず、必要な設備投資をする資金すらも捻出できないでしょう。当然、土地を最初から持っているオーナーの方が、家賃競争に勝ちやすい状態にあることは間違いありません。以前のようにボロアパートを購入し、リフォーム後に家賃を上げて売却するといったような手法も、入居者があってのことです。以前のようにうまくいくとは限りません。

今後のアパート経営は、入居者をいかに確保していくか、それにかかっています。そういった競争に勝つのは家賃を下げられることのできる資金力のある人で、それができない人は、参入しない方が賢明と言えます。

 

関連記事

ページ上部へ戻る