もはや優れた資産運用先とは言えない預貯金

せっかく貯めたお金が使えない

「60歳以上の生活に関するアンケート」の中で「現在、実施している資産運用は何ですか?」と聞いたところ、最も多かった答えは預貯金でした。預貯金の金利は、現在(平成28年6)0・0001%と史上最低を更新しています。にもかかわらず、多くの人たちが資産の運用先として相変わらず預貯金を選択しているのには驚きです。もちろん、資産の運用先として預貯金を選んでいる人たちが、不安を感じていないわけではないようですが、先ほど伝えたように、運用する術がわからないことが原因と言えます。

同じアンケートで、資産運用が貯金だけの人に今後の心配事を質問したところ、トップ5は「貯金が減っていくこと」が最も多く、「何歳まで生きるかわからないこと」「医療費」「何があるかわからないから使えない」「介護資金」という結果になりました。

この結果からは、高齢者は先々何があるかわからないため、せっかく貯めた預貯金を使えない状態に陥っていることがわかります。貯めたお金がなくなっていくのも問題ですが、せっかく貯めたお金が使えないという現状に不満をもっている高齢者は多いのではないでしょうか。

現役時代に一生懸命働いて充実した余生を過ごしたいと考えている現役世代にとっても、貯金があるのに使えないという状態は望ましいとは言えません。

 

インフレ率2%なら預貯金の実質価値は半分

老後の資産運用として貯金が適していない理由は、もう1つあります。それは、物価に連動していないということです。

定年後90歳まで生きるとすれば、セカンドライフの期間は30年という長期間に及びます。厚生労働省が発表した「平成26年簡易生命表の概況」によると65歳まで生きた男性の平均余命は19・29年、女性の平均余命は24 ・18年です。90歳まで生きる男性は24・2%、95歳まで生きる女性は24・4%ともはや人生85 年は当たり前、長生きの人なら100歳も超えるという時代になりました。

この30年の間に大きなインフレーションが起こる可能性もあり、その場合には貯金が大きく目減りすることになるため注意が必要です。

例えば、現在の3000万円は、1%のインフレが30年間続いた場合、現在の価値に直すといくらになるでしょうか。これは、次の式で計算できます。

3000万円÷(1・01)の30乗≒2226万円つまり1%のインフレが30年間続いた場合、現在の3000万円は、将来の価値にすると2226万円です。生命保険などで将来3000万円が保障される場合も、インフレには対応できないので実質価値がそれだけ減ってしまいます。

また、現在日本銀行が目標としている2%のインフレが実現し、30年間続いた場合はどうでしょうか。

3000万円÷(1・02)の30乗≒1656万円なんと半分近くまで、減ってしまう勘定です。

消費税増税がさらに預貯金を目減りさせる

これは非現実的なことではなく、むしろ現実的なこととして捉えておくべきです。

近い未来に、消費税が増税されれば預貯金の価値はさらに目減りするでしょう。現在の消費税が8%から10%になることは時期こそ未定ですが、決定的なことで、消費税が10%になれば、実質2%の貯金価値が目減りするという結果になります。

政府の経済政策も基本的には、成長路線を後押ししますので物価は上がっていき、社会保障の財源として消費税も上がることは必然の流れと言えるでしょう。そういった既定路線の中、預貯金だけで資産運用を行うのがいかに危険かが、おわかりいただけると思います。

正直、将来インフレが起こるか逆にデフレになってしまうのかは、誰にもわかりません。しかしながら、起こらないと思ったインフレが起こってしまう可能性もあります。人生は一度しかありませんし、インフレが起こってもデフレが起こっても、生活していかなければなりません。

インフレによって実質価値が目減りしてしまう預貯金だけに頼り切るのは危険なため、資産運用は分散投資が必要です。経済がどのような状況になっても対応できる資産運用のバランスが求められています。

 

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